Case Study 21

空室率上昇に悩む投資家が本当に抱えていた危機とは?

大手ドラッグチェーンの店長を務めておられる薬剤師・U様(55歳男性、妻と子供2人の4人世帯、年収約1200万円)のご相談です。
65歳の定年退職後も経済的にゆとりのあるセカンドライフを送りたい。そのためには資産形成が第一と考え、10年前から不動産投資を始めた。現在は4棟72戸の中古賃貸マンションを運用している。
このうち、5年前に購入した物件の空室率が2年前から30%を超えている。川崎市内の東急東横線沿線の1Kタイプの中古マンションだが、学生が多い地域で学生向けに購入した。購入時は満室経営だったが、4年前の春は卒業による大量退去で住戸の半数が空室になった。
新入生の入れ替わり入居などがあり3年前に空室率が10パーセント程度に回復したが、その後はまた徐々に空室が発生し、2年前から空室率30%超の状況が続いている。管理会社に中元・歳暮を贈るなどしつつ空室率改善の要求を繰り返しているが、その度に「努力しています」と判を押したような返事があるだけで一向に改善してくれる気配がない……。
そこでプロパティマネジメントに定評のある当社に「何とかしてほしい」というご相談でした。


[ 課 題 ]

U様に詳しいお話を伺った当社は、空室の原因を特定するため現地調査をしました。すると、物件と管理会社双方に要因のあることが判明しました。
まず、物件の方は建物管理状況が決して良好といえず、周辺には学生向けの競合物件が増加している状況です。明らかに物件競争力が劣っていました。これが第一の要因です。
次にU様が業務委託している管理会社は地元大手の不動産会社で管理実績も多く、U様の物件より家賃収入の高い管理受託物件を多数抱えていました。早い話が、U様の受託物件はその管理会社にとって旨味のある物件ではなかったのです。このため、「契約した義務だけは果たす」姿勢だったことが推測できました。

またU様はこの管理会社は不動産情報ポータルサイトで見つけ、メールと電話のやり取りで交渉を進め、契約書関係も郵送で処理していました。
もちろん管理会社の事務所を訪れたことはなく、社員の誰一人として面識はありませんでした。このためか空室率改善要求の時も電話をする度に、応対する担当者が違っていたと言います。U様の改善要求は社内でたらい回しにされていた可能性もありました。

当社は根本的な原因を探るため他の3棟の空室状況も調べると、いずれも空室率は15~20%に達していました。
したがってU様の所有物件はいずれもキャッシュフローが低く、投資効率は良くない状況です。この原因も管理体制にあることは明らかでした。
他の3棟の管理業務も川崎市内の管理会社と同様のプロセスで委託しているため、管理会社とのパートナー関係は疎遠でした。
加えて、これまでの4棟投資で合計6億円(年収の50倍)もの銀行負債を抱えていることも、その後の当社の聞き取りで判明しました。このままでは「定年退職後はゆとりのあるセカンドライフ」どころか、「定年退職後も負債返済に追われる日々」となるのは容易に想像できる状況でした。


[ 提 案 ]

当社はまず、U様が抱えていながらご自身がまったく気付いていない管理の問題と、U様の賃貸経営の深刻な状況をご説明しました。また、仮に川崎市内の物件の空室率をいったんゼロにしたとしても、現状の賃貸経営では1年後にはまた空室率上昇に悩まされるのが明らかな状況も、当社の調査結果に基づいてご説明しました。
次に、川崎市内の現在の空室率上昇は、U様の賃貸経営に黄色信号が灯っている兆候的な現象であり、問題の本質は空室率改善ではなく、賃貸経営の改善そのものにあることをご説明しました。
その上で当社は、当社が行っているプロパティマネジメントの詳細をご説明。事態を理解されたU様は、当社とのプロパティマネジメント契約を締結しました。


[ 現 状 ]

プロパティマネジメント契約を締結して4カ月の間に、当社はU様所有の賃貸マンション4棟すべての物件精査と現地調査に基づく収益シミュレーションにより、収益改善策を策定。次々と実行しました。その結果、空室率は4棟すべてが5~7%の範囲に減少し、キャッシュフローは約30%の上昇となりました。
当社のマネジメント力に瞠目されたU様は、現在5棟目の投資を計画中です。投資収益分析では、5棟目への投資拡大により既存4物件中、収益性の低い2物件の売却による資産入れ替えが可能になります。そうすると65歳の定年退職時には銀行負債が1億程度に減少します。したがって、以降は不動産所得のみでU様ご夫妻が悠々自適のセカンドライフを楽しめるものと思われます。