JR山手線沿線の不動産投資市況

東京都の中心部を円形に繋ぎ、1日の乗降数650万を数えるJR山手線は、東京交通の大動脈といえます。ターミナル駅から住宅地まで個性的な29の駅が並ぶ、大都市・東京を代表する路線の1つです。
新駅の開発計画発表に2020年東京オリンピックと話題も豊富なJR山手線沿線。不動産投資やマンション経営において最注目を集める沿線の市況と動向について解説します。


アクセスの良さから根強い人気を誇る路線

JR山手線は、元々東北本線と東海道本線を連絡するための線路として誕生しました。1909年に「山手線」という路線名となり、烏森(現新橋)から品川を通って池袋、田端、上野を結ぶ「C」の字運転の期間を経て、1925年から現在の環状運転となりました。全長は34.5km、1周およそ1時間で29の駅を結んでいます。

東京、新宿、品川など、名だたるターミナル駅が並ぶ一方で、2016年のリクルート住まいカンパニー調べ 「住みたい町ランキング」では長年トップの吉祥寺を抑えて1位になった恵比寿、マンション開発が続く大崎や駅前の再開発が進み住宅地としても注目される目黒や池袋など、一くくりにはできない駅のラインナップが山手線の特徴です。
駅ごとに町のカラーも大きく違い、緑が多く高級感と洗練された雰囲気が人気の恵比寿、「kawaii」カルチャーの発信地でありセンスのよい商業地帯として知られる原宿、アジア・イスラム文化が混ざり合う新大久保、ターミナル駅であると共に文化・芸術施設が多く集まる上野など、個性的な街が揃っています。

交通の便利さは言わずもがなで、ほとんどの駅で東京メトロや私鉄各線と接続しています。 丸の内や大手町、神谷町、虎ノ門、新宿、渋谷、品川などオフィス街へも簡単にアクセスできる魅力から、東京の中でも根強い人気があり、安心できる投資先との評価が高い路線です。

2027年完成予定の品川駅周辺の再開発に注目

山手線沿線の不動産投資市況を見るにあたり、絶対に無視できないのが2020年開催の東京オリンピックの存在でしょう。中でもひときわ大きな存在感を放っているのが、田町~品川駅間に作られる新駅とその周辺13haの広大な敷地に新しい街を作るプロジェクトです。
現在の京浜急行電鉄泉岳寺駅の東側に縦長に広がる、京浜急行線とJR線に挟まれた土地がその予定地となっており、マンションやオフィス、商業施設などが入る高層ビルの建設が進む予定。新駅と品川駅、泉岳寺駅を歩行者専用デッキで連絡することも検討されています。

新駅は東京オリンピックに合わせて2020年の開業を見込んでいますが、街全体の再開発工事は2027年完成予定です。
東京都が策定した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014」には、「海外へのアクセスが良い品川を大手町、丸の内、有楽町に並ぶ拠点に格上げし、日本の成長を牽引する拠点にする」と表記されており、将来的にこのエリア周辺のみならず、品川へのアクセスが良好な京浜東北線沿いや大崎、五反田などの不動産価格にも影響が出る可能性は高そうです。

また渋谷ヒカリエの登場で駅前が大きく様変わりした渋谷も、大規模な再開発が進められている地域です。渋谷駅ビルは2020年に地上46階建て、高さ230mの高層ビル(東棟)に生まれ変わり、2027年には続いて中央棟、西棟が登場予定です。
そのほかにも、駅南側にある東横線の旧ホーム・路線跡には2018年完成予定のオフィスや商業施設、ホテル、ホールなどが入る予定の地上34階建て、高さ180mの超高層ビルなどが建設中。
渋谷にダイレクトアクセスできる山手線、東急東横線、東京メトロ半蔵門線などの沿線の資産価値も高まることが考えられます。

品川・渋谷の再開発の波及効果に期待

2016年のJR山手線の地価平均は、平米単位で平均339万7034円/平方メートル、坪単価では平均1122万9862円/坪となっています。2013年9月に東京オリンピックの開催が決定してから、山手線沿線の地価は全体的に上昇傾向が見られます。

不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、山手線沿線におけるワンルームの家賃相場は渋谷が最も高く12.93万円です。6駅離れた目白~巣鴨近辺は8万円台ですが、アクセスの良さを考えると渋谷の再開発が進むにつれて今後人気が出ることも考えられます。
また池袋は、ワンルーム8.68万円、2LDK~3DKで20.13万円と山手線の中ではやや割安な家賃ですが、「国際アート・カルチャー都市」を掲げて8つの劇場の整備などを含めた大規模な再開発計画が進行中です。埼玉方面への玄関口であり、新宿へ約9分、渋谷へ約16分でアクセスできるという立地の良さも合わせて考えれば、資産価値が上昇する可能性は十分考えられます。

また、ワンルームの家賃相場は品川が11.16万円であるのに対し、隣の大崎は9.13万円、五反田は10.01万円で割安感が目立ちます。ファミリー向けの2LDK~3DKだとその差は品川28.51万円、大崎20.63万円、五反田23.15万円まで拡大します。
大崎は駅前に「ゲートシティ大崎」「大崎ニューシティ」など大型複合施設が集まる一方、下町情緒が味わえる戸越銀座商店街も近く、夜間保育や公園なども充実している子育てのしやすい街であることを考えると、品川の再開発に伴い大きな波及効果が期待できそうです。
このように多くの選択肢が取りうるエリアにおいて、どの部分に着目して投資戦略を策定するかは不動産運用の成果において大きな分岐点となります。弊社の金融工学的評価計算を活用することで、幾多の投資パターンからクライアントの目的に最も適した安全で確実な投資シミュレーションを提案させていただきます。ぜひお気軽にご検討、ご相談ください。