川崎駅周辺の不動産投資市況

東京区部と横浜市北部の間に挟まれ、京浜工業地帯の中心部として、また、両都市のベッドタウンとして発展してきた川崎市。住宅需要も安定して高いため不動産投資市場として魅力の高いエリアです。
また、近年は川崎駅周辺を中心とした再開発や東京五輪や羽田~品川エリアの交通インフラ整備が進められている点も好印象のようです。
では、このようにエリアブランド力を大幅に高める新たな魅力が次々と誕生している、川崎駅周辺の不動産市況について探ってみましょう。


川崎市の沿革と発展の経緯

川崎市は神奈川県の北東部に位置し、多摩川を県境として東京都大田区と隣接しています。地理的には東京都心と横浜市というふたつの大都市に挟まれており、エリア内を南北に走るJR南武線と、南武線と交差する形で京急線・東急東横線・東急田園都市線・小田急線・京王相模原線の5つの私鉄が東西に走っています。

川崎市全体は京浜工業地帯の中心部として高度成長期以降順調に発展してきましたが、それと同時に、川崎市の中心駅である川崎駅周辺は東京区部・横浜市北部を含めた沿線地域圏として両都市のベッドタウン的な性格を色濃くしてきました。
平成28年6月1日現在、川崎市の人口は1,486,578人、世帯数は702,100で、7区の行政区を持つ政令指定都市となっています。

また人口は1970年代以降順調に増加しており、人口分布は全国平均に比べて20~40代の働き盛りの層が多くなっています。
これはおもに私鉄網の充実により新宿や渋谷といった東京都心部ターミナルへの交通の便が良いこと、また、京浜工業地帯の雇用が潤沢であることなどから労働人口の居住者が多いのではないかと推測できます。

重工業都市から先端研究都市への脱皮

川崎市には富士通(中原区)や三菱ふそう(高津区)など製造業を中心とした大手メーカーが本拠を置き、その他にも日立製作所 新川崎拠点(幸区)、JFEスチール東日本製鉄所京浜地区(川崎区)、東芝 マイクロエレクトロニクスセンター(幸区)、日本電気 玉川事業場(中原区)などの重要生産拠点が置かれています。こうした背景から市の財政状況は良く、平成21年度の財政力指数をみると最も財政に余裕がある政令指定都市のひとつとなっています。

しかし、こうした「ものづくりの都市」として発展し、潤沢な雇用力や財政力を確保してきた半面、かつての川崎市には、居住空間としての環境面や「生活の質の高さ」に関する懸念点がありました。
ところが近年日本の製造業の体質が転換し、かつて「重厚長大」の代名詞で知られた京浜工業地帯は、高度なものづくり技術や世界的な環境技術の集まる土地として再評価されるようになってきました。

京浜工業地帯の中核として重工業を中心に発展してきた臨海部も、平成9年にはエコタウン事業を開始。平成13年には川崎ゼロ・エミッション(廃棄物ゼロを目指す)工業団地が稼働し、川崎市の環境向上に貢献しています。さまざまな種類の再生可能エネルギー発電施設も相次いで建設されました。
また京浜工業地帯の企業の多くが製造拠点以外に新製品の研究開発・施策研究部門への投資額を大幅に増加させており、川崎市のイメージは「自然環境に優れ、空間的にも余裕ある最先端技術の街」へと変化してきています

川崎駅周辺を中心とした再開発で商業都市としての魅力も向上

2011年、川崎駅東口駅前広場の再編整備により、東口から東西自由通路を経て西口へ至る歩行者軸をつくりました。2018年にはそれに加え川崎北口自由通路等の整備が完成予定となっており、駅周辺の回遊性など都市基盤整備が進んでいるため、駅周辺のイメージが一新されました。
また、近年はラ チッタデッラ、ミューザ川崎、ラゾーナ川崎プラザなどが次々とオープンし、川崎地下街アゼリアがリニューアルされ、現在は「川崎駅周辺総合整備計画」と「市街地再開発事業」が進行中です。

一方、川崎市は2014年に東京圏の国家戦略特別区域に指定され、国際競争力のあるまちづくりを進めています。
羽田空港の多摩川対岸にあたる殿町地区ではライフサイエンス分野の世界拠点として「キング スカイフロント」の開発が進んでおり、羽田空港の国際線ネットワークを活用して産業・研究開発の先端都市を目指します。2020年東京オリンピックの開催を控え、これから川崎駅周辺はさらに魅力あふれるエリアに変貌していくことでしょう。

川崎駅周辺の賃料相場

国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告(H28.1.1~H28.4.1)」では、川崎駅東口地区の地価動向及び将来地価動向として、鑑定評価員は次のように述べています。

・店舗については、JR川崎駅東口での地下街の大規模なリニューアルや、京急川崎駅に直結する商業施設やホテル等からなる複合ビルが4月下旬に開業すること等により、川崎駅周辺の商況は改善しているが、店舗賃料は引き続き横ばいである。
・周辺地区においては投資対象となる中規模オフィス等の優良物件の取引が散見され、積極的な取引が増加している。
・川崎駅周辺の発展への期待から不動産の取得需要は引き続き強く、取引価格はやや上昇傾向にある。
・当地区においては、就業人口や背後商圏人口が増加傾向にある。
・オフィスやビジネスホテル等の優良物件を中心とした需要の強まりは今後も続く可能性が高い。さらに、企業業績の回復傾向が見られるなかで、今後もオフィスを中心に賃貸需要の増加及び賃料の上昇が期待できることから、旺盛な不動産投資意欲を背景に、当地区の将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

参考までに東京カンテイの2016年6月の中古木造一戸建て住宅平均価格を見ると、川崎市は+10.2%の大幅上昇で4,469万円となっており、東京都下の+1.9%をはるかに上回っています。
賃料相場はワンルーム7.12万円、1DK8.84万円、2LDK14.66万円、3LDK16.27万円となっています(HOME’S調べ)。
川崎エリアは、特にまとまった資産設計を目指しておられる投資家の方には魅力的な投資先と言えるのではないでしょうか。
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