吉祥寺駅周辺の不動産投資市況

新宿からJR中央線快速で約15分、渋谷から京王井の頭線の快速で約16分の吉祥寺駅周辺の街が「吉祥寺」です。
住居表示では吉祥寺本町、吉祥寺北町、吉祥寺東町、吉祥寺南町、御殿山と5つの町域一円を指します。リクルート住まいカンパニーの「住みたい街ランキング」で2015年まで連続1位だった人気抜群の街として知られています。駅から半径300mほどにわたって繁華街が碁盤の目状に形成されており、その外側に住宅街が広がっています。
圧倒的な知名度とブランディングを有する吉祥寺駅周辺の不動産投資市況について解説します。


欲しいものは何でも揃う買物天国の街

駅前周辺には飲食店が密集し、繁華街では東急百貨店吉祥寺店、吉祥寺パルコ、ヨドバシカメラマルチメディア吉祥寺などの大型商業施設の合間を埋めるように中小のテナントビルが建ち並びます。またブランドショップ、セレクトショップ、雑貨店、レストラン、カフェなど多種多様な路面店が入居しています。
さらに「吉祥寺の三大商店街」と言われる「吉祥寺サンロード商店街」、「ハーモニカ横丁」、「吉祥寺ダイヤ街」を始め、いくつも商店街があり、買物の利便性を高めています。

吉祥寺の第一の特徴であり、魅力とされているのが「欲しいものは何でも地元で揃う」と言われる商店の多さと多彩さと言えます。
例えば、京王井の頭線吉祥寺駅直結の駅ビル「キラリナ京王吉祥寺」にはファッションやコスメを中心に扱う店が約100店入居しています。その北隣のJR中央線吉祥寺駅の駅ビル「アトレ吉祥寺」も、生鮮・加工・自然食品を始めファッション、雑貨、レストラン・カフェなど200店以上が入居。「食品と生活関連品の品揃えの豊富さは地方の有名百貨店並み」(街ガイド関係者)と言われています。
また、吉祥寺サンロード商店街では約160店が軒を連ね、様々な商品を扱っています。
さらに高級スーパーの「三浦屋」、「紀ノ国屋」、「成城石井」なども吉祥寺に出店しており、これらの店ではバラエティに富んだ高級食材を地元で購入できます。

吉祥寺はジャズ喫茶、ライブハウスなどが集積しているところから「音楽の街」としても知られています。ゴールデンウィークに毎年開催される「吉祥寺音楽祭」では街のあちこちで特設ステージが組まれ、無料でジャズを中心としたライブ演奏を楽しめます。
この他、成蹊大学と東京女子大学のキャンパスが吉祥寺駅から徒歩圏内にあり、また立教女学院、武蔵野大学、国際基督教大学など10大学近くのキャンパスが吉祥寺駅から鉄道やバスで15分圏内にあるため、吉祥寺に住んでいる学生も多く、吉祥寺は下北沢と並ぶ都内有数の「学生の街」としても知られています。

商業と生活が一体の「我が街」などを目指した「吉祥寺プロジェクト」が進行中

武蔵野市は現在、吉祥寺の長期再開発計画「進化するまち『NEXT―吉祥寺』プロジェクト」を進めています。
同プロジェクトは武蔵野市が2007年3月に策定した吉祥寺の将来ビジョン「吉祥寺グランドデザイン」の推進計画。吉祥寺グランドデザインでは「安全で歩いて楽しいまち」をコンセプトに、「商業と生活が一体となった『我が街』」、「『行ってみたい街、住んでみたい街』としての広域的な魅力の創出と都市観光の推進」を目指しています。
このグランドデザインに基づき、同プロジェクトは「協働による持続的な取組み」を始め4つの方策を掲げています。このうちプロジェクトの要になるのが、次の3つの方策と言われています。

<エリアに関する取組み>
●セントラルエリア(北口周辺)のまちづくり
「吉祥寺の顔ゾーン」としての雰囲気作りの観点から防災性の向上、老朽化した建物のリニューアル・共同ビル化の誘導などの方策を検討する

●ウエストエリア(北口西周辺)のまちづくり
「住宅地と商業地が調和・融合した複合市街地」の形成に向け、安全で快適な歩行者・買物空間の整備を始めとする地区計画を検討する

●イーストエリア(駅東周辺)のまちづくり
「新たな魅力」を創出するための地区計画等を検討する。同時に環境浄化の取組みを着実に進めるとともに市有地の利活用方策を検討する

●パークエリア(井の頭公園周辺)のまちづくり
「井の頭恩賜公園の雰囲気を感じられる商業環境と居住環境が調和・融合した複合市街地」の形成に向け、地区計画等と市有地の利活用方策を検討する

<駅に関する取組み>
●JR吉祥寺駅改良・京王吉祥寺駅ビル建替え
駅と街との連携機能の向上、JR吉祥寺駅と京王吉祥寺駅の乗換え利便性の向上などを図るとともに街のシンボルとなる駅舎前面の改修を行う

●南北自由通路の整備
駅南北通路の自由通路化、拡幅・直線化を図る

●南口駅前広場整備・交通体系の見直し
バスやタクシーなどの南口・北口駅前広場の交通体系見直しを行う

<まちの軸に関する取組み>
●市道第298・299号線の整備
駅から図書館などの文化施設へのアクセス道路、イーストエリア内の核となる道路としての整備を推進する

●市道第190号線の整備
駅からセントラルエリアへのアクセス道路、エリア内の核となる道路としての整備を推進する

●七井橋通り(市道第151号線)の整備
駅から井の頭恩賜公園へのアクセス道路、緑の連続性や景観に配慮した道路としての整備を推進する

同プロジェクトは2018年を目途にこれらの方策をとりまとめ、吉祥寺グランドデザインの改訂作業に入る予定と言われています。

他の街への人口流出が少なく住宅は供給不足

吉祥寺は交通や買物の利便性の高さから暮らしやすく、吉祥寺から他の街へ流出する人が少ないため、住宅は需要に対して供給が不足していると言われます。
特に邸宅や高級マンションが建ち並んでいる屋敷街の井の頭恩賜公園北東の吉祥寺南町と同北西の御殿山の物件は「プラチナ物件」と言われるほどの希少性があるようです。

そこで気になるのが賃貸マンションの家賃相場ですが、不動産情報サイト「HOME’S」の調査によれば、ワンルームマンションが7.1万円、1DKが10.4万円、2DKが11.9万円、2LDKが18.2万円などとなっています。
立地が多摩地区なので、都心の人気の街や近隣の荻窪(杉並区)の家賃相場と比べると割安ですが、隣の三鷹と比べるとやはり高めです。 賃貸マンションの大半は吉祥寺本町、吉祥寺北町、吉祥寺東町、および吉祥寺南町の井の頭通り以北に点在しています。しかし今はマンション用地が少なく、「新規開発計画はあまり聞かない」(地元不動産会社)と言われます。

他の街に比べて賃貸マンションの流動性が低いので取得機会が少なく、家賃も都心より安いので、短期的なリターン獲得を求める投資には不向きのエリアと言えるでしょう。しかし吉祥寺グランドデザインに示された街の将来像を考えると、街全体のブランド力や資産価値がさらに高まるのは必至と言えそうです。
したがって、資産形成目的の投資には有望なエリア。長期的展望でじっくりと腰を据えて物件を取得・運用する投資家タイプに適した街と言えそうです。

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